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東京書店員さん訪問記

2015/07/17

第2回:BOOKSルーエ 花本武さんを訪問 ~棚名人にユニークな棚づくりの極意を訊く!の巻~

 

第二回目に訪問したのは、吉祥寺にお店を構えるBOOKSルーエさん。

 

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BOOKSルーエ
〒180-0004 東京都武蔵野市吉祥寺本町1-14-3
TEL 0422-22-5677 
AM9:00~PM10:30
HP:http://www.books-ruhe.co.jp/

 

型にはまらない、一風変わったフェアを展開していることで有名な書店です。
まずは、訪問時の売り場を一部ご紹介しましょう。

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こちらは濱口瑛士さんの作品集発売を記念したフェア。

 

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店内には濱口さんの作品パネルもずらっと展示されています。
作品集を購入すると、特典として原画のポストカードがもらえるんだとか!

 

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こちらは2階へ続く階段の踊り場にあるショーウィンドウ。
毎月展示のテーマが変わるこのスペースは、ルーエさんの名物のひとつとも言えます。
なんでもキン・シオタニさんとコラボレーションし、オリジナルブックカバーをつくったそうで、6月はその原画が展示されていました!

 

今回お話を伺ったのは、そんなルーエさんの「おもしろい書店」というイメージを形づくった立役者のひとり、花本武さん。

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花本さんがつくる棚は独自性にあふれ、いつしか「花本棚」と呼ばれるほどに。
いかにして花本さんは「棚名人」となったのか、そして人を惹きつける棚をつくる秘訣とは何なのか、たっぷりと語っていただきました。

 

「花本棚」誕生秘話
――お店に通称「花本棚」と呼ばれる棚があるそうですね。
「いつしか言われるようになりました(笑)。あるとき、学習参考書を担当してた当時の店長に、センター試験が終わると赤本が全部撤去されて棚がガラっと空くから、『何かおもしろい棚作ってみてよ』って言われたんです。それは『お前の棚だ、好きにしろ』っていう言い方でした。でも、さすがに未知数で、とっかかりもないから、店長に相談したんです。すると、『文芸別冊』や『クイック・ジャパン』、『ユリイカ』みたいなワンテーマの特集を組んでるムックと、そこで特集されてる作家の文庫とかを混ぜて置いたらいいんじゃないかって言ってくれたんですね。これはおもしろいと思って、注文書を出版社から取り寄せて、白洲次郎など僕の好きな人物をピックアップして、さらにその人にスポットを当てた文庫本や文芸書をどんどん注文して並べていったんです」
――へえー、おもしろいですね。
「並べ方もこだわりました。その頃からほかの書店も見に行くようにもなっていたんですけど、やっぱりいい書店って同じ高さの本を整然と並べるんじゃなくて、いろんなものを一緒に置いているということがわかったんです。リブロ池袋本店は、雑誌の棚であっても、文庫本が置いてあったり、芸術書の棚にも雑誌が置いてあって、『あ、これはすごい』と思いました。こういうふうじゃないと、お客さんの脳内の地図とリンクしないって思ったんです。その意識もあって、いろんな大きさの本がバラバラに集まってるっていう棚を作りました。でも、僕がそういうガタガタした棚を作ってみても結局、リブロ池袋みたいにはならなくて、すごく異形の棚になったんですけど(笑)。そのあたりから、その棚を誰かが『花本棚』って言ってくれたんです」

 

書店員になろうと思った日
――ところで、いつから書店員さんのお仕事を始められたんですか?
「10年くらい前です」
――なりたいと思ったきっかけが何かあったんですか?
「それまでビルメンテナンスの仕事とか、印刷工の仕事をしていたんです。当時の自分には肉体派の仕事でお金を得るのが本筋なんじゃないか、労働の喜びっていうものがあるんじゃないかという考えがあって。でも、それだけでもあんまりおもしろくないなと思い始めて、仕事を辞めて、ふらふらしてた時期があったんです。『これからどうしようかなあ』と考えていたときに、部屋の本棚を整理してたんですね。本は昔から好きで部屋にたくさんあったので、『ああ、この本とこの本はこう入れ替えてこうするとおもしろいかな』とか考えながらやってたんです。そしたら『あ、待てよ』と。『もしこれが仕事だったらけっこういいんじゃないか』って、ふと思ったんですよね。それで、前から好感を持っていたこの店に、アルバイトで入ったのがきっかけなんです」

 

新人書店員・花本さん、「新潮文庫」を任される
――実際に書店員になられてみて、このお仕事についてどう思いました?
「おもしろいなっていうのはなかなか気付けなくて、やっぱり肉体労働の延長みたいな感覚で仕事をしていたと思います。いろんなことを覚えようという向上心はありましたけど、何かクリエイティブなことができる仕事だっていう意識はなかなか持てなかったですね。でも、うちの店ってアルバイトでもすぐに担当を持って、発注権限をもらえるんですよ。僕もすごく早い段階で新潮文庫を担当させてもらって、棚を任されたことがすごくうれしかったから、その棚を何とかしなきゃいけないと思うようになりましたね」
――そこからおもしろいと感じるようになっていったんですか?
「そうですね。どんな本をどんなふうに並べたらいいかを考えて、それを仕入れて並べるっていう一連の流れをやっていくうちに、自分で自由につくった世界観を提示できるということがわかってきて、どんどんおもしろさが生まれてきました。それからいろんなことをやりだしていったんですけど、だんだん新潮文庫だけでは満足できなくなってくるんですよ。新潮文庫の棚なのに、なぜかほかの版元の本が置いてあるっていうのをやりだしちゃうんですよ、どうしても(笑)」
――はははははは。
「越権行為なんですよ、完全に(笑)。別の担当者がいるから、その人に気も遣わなきゃいけないんですけど、そういう意識も低くて、わりとなんでも注文しちゃってました」

 

エキサイティングな棚づくり
――今まで手がけられた棚のなかで「これは傑作だ」という棚はありますか?
「売り上げが一番どんと上がった棚という意味では、階段のショーウィンドウの棚でやった、『ユリイカvs文芸別冊』。それは大ヒット企画で、毎年恒例になりました。12月と1月の2ヶ月間、そのふたつのカルチャー誌を対決させるっていう企画で、Twitterとかいろんなところで対決ムードをあおるんですよ。リアルタイムでどっちが売れてるかって公開してたんです」
――おもしろいですね! そういうアイディアってどうやって生まれてくるんですか?
「その対決させるっていう企画は何となく思いついたんですけど、どこかのお店を参考にすることもあります。『ここのお店おもしろいよ』っていう情報を聞くと、休みの日に見に行っては、いろいろ考えたりしてました」
――やっぱり、自分がお客さんだったらどんなものに惹かれるかっていうのが基準のひとつにあるんでしょうか。
「やっぱりそれは大前提にあると思います。自分がおもしろいと思わないとおもしろい棚にはならないですよね」
――じゃあ、これはいい棚になったなっていうときには、つくってるときからご自分がエキサイトしてる感覚がありますか?
「それはありますね。文庫担当だったときによくやってたフェアのパターンは、その著者の新刊が出たタイミングで、著者さんと何らかの手段で連絡をとって、本を10冊なり15冊なり選んでもらい、それを並べるというものでした。さらに、フリーペーパーをつくって、その著者さんからもらったコメントを載せるっていうこともしていたんですが、そういう仕込みは、すごくエキサイトしてましたね。自分の頭のなかにだけ、まだ完成してないフェアの青写真があるんですよ。その著者からもうリストが来てて、この新刊を出すタイミングで、確実に話題になる著者の頭のなかをのぞける。で、もう少ししたら、それをうちで提示できるんだっていうのはすごくエキサイトしますね」
――にやにやして口元が緩んじゃいますね。
「にやにやしながら、著者さんからもらったコメントをPOPに代筆するんです。それで本が届いたらPOPを貼って、本を並べて、『どうだい!』っていう。それは最高におもしろいですね」
――書店員になる前に本棚を整理していたときの感覚と、いま仕事として棚をつくってるときの感覚は違うものですか?
「基本的には変わらないですね」
――そのときのピュアな気持ちのまま。
「はい。家の本棚を整理してるのも、今でもやっぱり楽しいですし。好きな本を読んでいて、『ああ、いい本だったなあ』と思うと、自分の家の本棚で棚変えが始まるんです。それはそれでおもしろいし、仕事との境目は薄いですね」
――じゃあ以前は、汗水たらしてするのが仕事だっていう意識があったわけですが、そのときと比べて、今は仕事に対する意識って変わりましたか?
「変わったかもしれないですね。基本的に今でも、肉体労働といえば肉体労働なんです(笑)。雑誌出すのとか、腰も痛いですしね。そこの部分は変わらないんだけれども、やっぱりそれだけじゃなくて、頭脳労働でも、汗をかいたときと同じ爽快感っていうのは得られるなっていうのはさすがに学びました。クリエイティブなものでお金を得られるっていうのも、当然だなって思います」

 

吉祥寺だからこそ成り立つ仕事
――吉祥寺っていう場所もまたユニークですよね。
「確かにそうですね。ここでしか僕の仕事は成り立たないんじゃないかって思うくらい吉祥寺だからこそっていうのはありますね」
――どんな街だと思いますか?
「何でも受け入れてくれる街なんじゃないかなって思います。どんなものにでも興味を持ってくれるし、クリエイティブな人も多いし、いわゆる汗して働いてる人でも、すごくクリエイティビティのある働き方をしてる人がいると思ってます。実際、河出書房の『日本文学全集』を、明らかに土木系の仕事をしている人が定期購読してたりするんですよ」
――へえー、かっこいいですね。
「かっこいいんですよ。レジで買うときに、『カバー捨てて』って言うんです。『このままでいいから。袋もいらない』って。それが本当のインテリジェンスだと思います。吉祥寺はそういう人がいる街ですね」
――お客さんは若い方から年配の方まで幅広いですか。
「客層はけっこう幅広いと思います。でも、年配の方だからって感性が古いということはまったくないはずだから、年代も気にせずにやっていければいいなという気持ちはありますね。こういう感性の人に向けてこのフェアはやっていこうというように、年代とか性別とは違う切り口で層の見込み方をしていったほうがいいんじゃないかなという気はします」
――そういう視点が花本さんの棚に独自性を与えているのかもしれないですね。
「そうだといいですけどね。そういうのが理想ですね」
――では最後に、お店の自慢できるポイントをひとつ教えていただけますか。
「それこそクリエイティブなことを考えてる人がたくさんヒントを得られるってところだと思います。あとは、すごくつまらないことを言うと、3階の漫画の充実がすごいです(笑)」
――ははははは。
「秋葉原より充実してます。それを見に来てください(笑)」

 

【まとめ】
特に印象的だったのは、「いい棚ができるときは、仕込みの段階からエキサイトする」というお話。小さい頃から本が好きで、本棚の整理をするのも楽しかったという花本さん。仕事として本や棚に向き合うようになった今も、そういうピュアな気持ちが変わらずにあるからこそ、花本さんがわくわくしながらつくる棚は、本好きの心をくすぐるのだと思いました。

また、花本さんがこれだけユニークな取り組みをやってこられたのは、花本さん独自の視点やセンスによるところが大きいと思いますが、それを形にできること、そしてそれが受け入れられることは、吉祥寺という街に、好奇心旺盛でクリエイティブな気風が根付いているからこそだということもわかりました。
その意味で、書店の立地というのは、そのお店の個性を形成するもっとも大きな要素のひとつなのだと思いました。

ちなみに、ほかにも『ルーエの伝言』(『ルージュの伝言』をもじったそう)という、お店のフリーペーパーをつくっていた日々のお話や、フリーペーパー愛が極まって、なんと早稲田大学でフリーペーパーについて講義をなさったお話、新文化さんの社長さんに「君はおもしろい」と見初められ、新文化公式ホームページにてコラム連載をなさっていたお話など、ここではご紹介しきれなかった興味深いエピソードをたくさん聞かせていただきました。

コラム連載はまだ閲覧することができますので、ぜひ!
「ルーエからのエール ~『書籍礼賛』出張版~」(現在は連載終了)
http://www.shinbunka.co.jp/rensai/yell-ruelog.htm

 


【本日の手土産】
やってまいりました、皆さんお待ちかね(?)、手土産ご紹介のコーナーです。

今回は、CELI SWEETS(セリ スイーツ)さんのシュークリームとフィナンシェをお持ちしました。

 

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この、「ああ、もうこれは間違いない」っていう風格。
かぶりつくと、香ばしいシューがザクっと音を立て、濃厚なカスタードクリームがとろとろとあふれ出すのです。
想像しただけでうっとりとした気持ちになりますでしょ!

 

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見た目もかわいい、ハート型のフィナンシェ。
豊かなバターの香りがたまりません!
こちらはプレーンですが、抹茶もありますよ。

このほかにプリンも販売されています。
行列必至の大人気店ですが、お店の周囲にだだ漏れる甘~い香りを嗅いでしまったら、並んででも食べたくなっちゃう魅惑のスイーツ。
なくなり次第終了ですので、お早めにどうぞ!

 

CELI SWEETS FACTORY
東京都 中央区 築地2-14-4 フェニックス東銀座第二ビル1F
営業時間:10:00~19:00
TEL:03-6264-2290
HP:http://celi.asia/
※店舗は京橋にもあります。

 

 

 

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