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東京書店員さん訪問記

2016/04/25

第3回:福家書店 新宿サブナード店 村澤店長を訪問 ~「女性がきれいになるお店」にリニューアルした真相に迫る!の巻~

 

第3回目は、福家書店 新宿サブナード店さんにお邪魔しました!

タレントさんの写真集などが発売されるときに、握手会などのイベントが開催されることの多い新宿サブナード店さん。そのイベントの数たるや、年に約200回にものぼるんだとか。『MEKURU』の出版元であるギャンビットパブリッシングでも、斎藤工さんの写真集や、伊藤千晃さんの写真集の発売時に握手会を開催させていただきました。

そんな新宿サブナード店さんですが、2014年の8月、女性を対象にした書店として大リニューアルされたことでも話題に。今回はそのリニューアルの真相に迫るべく、じっくり取材させていただきました。するとそこには、「現代における書店のあり方とは?」というテーマを考えさせられる、興味深いヒントが溢れていたのでした。

 

リニューアルでここが変わった! 4つのポイント

リニューアルのコンセプトは「女性がきれいになるお店」。内面からも外面からもきれいになれるような商品をとりそろえているのだそう。ただ、こちらのお店がすごいのは品ぞろえだけではありません。女性の心をきゅんとときめかせる世界観が徹底的につくりあげられているのです。まずは、どのようなところが「女性仕様」になっているのか、店内の様子をリサーチしてみましょう!

 

ポイント1▷シャビーシックな内装

一般的な書店というと、つるつるとした白い床に、パキっと明るい蛍光灯、所狭しと並ぶ大きな本棚――そんな空間をイメージする方が多いと思います。新宿サブナード店さんも以前はオーソドックスな内装だったのですが……。

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リニューアル後、ウッディな素材を基調とした、まるでカフェのような雰囲気に! なんでも「シャビーシック」をテーマに、落ち着けて、癒されるような空間を目指したのだそう。全体的に木の温もりが感じられるうえ、照明はやや暗く、ほのかにアロマの香りも漂います。

お店の中央に設置された女性誌コーナーは、ゆるやかにカーブを描く形状の棚がユニーク。まるでお客様をやさしく出迎えているような印象を受けます。

 

ポイント2▷9つのカテゴリ

店内を見回すとパッと目に入るのが、棚に掲げられた各カテゴリのプレート。

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 一般的な書店では、棚に「趣味」や「実用」といったカテゴリが書かれているのをよく見かけますが、こちらでは「CULTURE」、「BEAUTY」、「HEALTH」、「LOVE」、「SPIRITUAL」、「SKILL」、「COOKING」、「TRAVEL」、「LIFE」という独自のカテゴリが9つ設けられています。どれも女性の関心を引きそうなキーワードです。

 

ポイント3▷驚くべき雑貨の充実度

9つのカテゴリに沿って、本はもちろんのこと、雑貨も非常に充実していることに驚かされます。

例えば「BEAUTY」の棚をのぞいてみると……。

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お風呂にまつわる本とともに、入浴剤がズラリ!

 

ほかにも、羽ペンのコーナーがあったり……。

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みんな大好き、猫をモチーフにしたグッズのコーナーも!

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写真はほんの一部ですが、まるで雑貨屋さんのような品ぞろえです。

 

ポイント4▷ガ―リーなPOPや装飾

いたるところに施されたPOPや装飾も、もちろんガ―リー。

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かわいいものについ目が奪われてしまうのが女子の習性。見ているだけでうきうきするような棚に仕上がっています。

こちらは「LOVE」の棚なのですが、ほかにもモニターで映画『ローマの休日』が上映されていたりと、思わず恋愛へのモチベーションが上がってしまうような工夫があちこちに施されています。

 

このように、女性向けの書店として抜本的に生まれ変わった新宿サブナード店さん。そのリニューアルの意図や経緯を中心に、店長の村澤優子さんにお話をうかがいました。

 

ニッチな分野でナンバーワンを目指す

――女性向けのお店にリニューアルすることになったきっかけは何だったんでしょうか。

「このお店の向かいに『コミックストア』という福家書店のコミック専門店があるんですが、そこではもともと、BLを買われる――いわゆる腐女子さんをターゲットにしていたんです。その影響で、こちらのお店にもいらっしゃるお客様は女性が多かったんですね。それを受けて、思いきって女性向けの店舗にリニューアルすることになりました」

――例えばファッションビルのなかにある書店は女性向けの本が充実していたりして、立地に合わせて品ぞろえに特色を出しているお店はありますよね。でも、ここまでお店全体をガラッと女性向けに変えるというのは、かなり思い切ったシフトチェンジに思えるのですが、大幅なリニューアルに踏み切ったのはどうしてだったんでしょうか。

「ちょっと変えたくらいでは誰も気が付かないから、というのが理由のひとつです。それに、今はなかなか本が売れなくなってきていて、書店業界は厳しい局面を迎えているというのが現状。そのなかで生き残っていくために、福家書店としては、ほかのお店との差別化をはっきりさせていこうという方針があります。皆さんのイメージとして、いろんな本が取りそろえられている書店というと、最大手の書店さんを思い浮かべると思うんです。それなら、ちょっと変わったものがほしいと思ったときに、『福家書店に行ってみよう』と一番先に思い浮かべてもらえる場所として、お店の名前が浸透すればいいなと思っています。その方針に基づいてできた第一弾のお店が、ここなんです」

――なるほど。そういう意味では、コミック専門店というニッチなお店を展開されているというのも、ほかのお店とは違ってユニークですよね。

「そうですね。コミックストアではオリジナルのペーパーなど、独自の特典をつけるというフェアもよく行っているんですが、そういう取り組みもほかのお店との差別化につながっていると思います」

 

最新のトレンドが人々の心に刺さる街、新宿

――リニューアル後、お客様の反応はいかがでしたか?

「当初は、文庫も男性誌もなければビジネス書も少なくて、今よりももっと女性に特化した品ぞろえだったので、お客様からは『どうして置いてないの?』というお声をいただくことがありました。たしかに、女性だって文庫もビジネス書も読みますからね。それでどんどん扱うジャンルを広げていきました。実は、『CULTURE』というカテゴリも最初は無かったんですが、近くに映画館の『TOHOシネマズ新宿』が新しく出来たので、そのタイミングで作ったんです。新宿に訪れる人のニーズに合わせて品ぞろえも変えてきました」

――品ぞろえって、そんなふうに立地に左右されるものだと思いますが、新宿で書店を構えていて、新宿はどんな街だと感じますか?

「あらゆる人が集まってくる、中継地点のようなところがあると思います。新宿を目的に遊びに来る人よりも、乗り継ぎや、仕事の途中で寄る人のほうが多いのではないでしょうか。だから、最新のものを置いて、最新の情報を発信すれば、皆さんが関心を持ってくれる。つまり、物を選ばずに置くのではなくて、ちゃんと理由があるものを置けば売れるんだなあと思います。例えば地方だと、どうしても特色に縛られて、どんなに世間で売れていても売れないということがあると思いますが、世間で話題になっていれば、ここでは不思議と絶対に売れますからね」

――では、日ごろからいろんなことにアンテナを張っていらっしゃるんですね。

「そうですね。ニュースのチェックは欠かしませんし、近所の書店や、新しくできたスポットなどにも行くようにしています。私は雑貨担当で、発注や商談も行っているので、本に限らず幅広いものをチェックするように心がけていますね」

 

お客様を「おかえり」という気持ちで出迎える、アットホームな空間

――店内には女性の心をくすぐる仕掛けがたくさんありますが、皆さんでアイディアを出し合うんですか?

「スタッフが女性ばかりということもあって、みんなで閉店後や開店前の作業をしながら、『あれやったらおもしろいね』とか『これかわいくないですか?』なんて会話をキャッキャとしているんですが、そういうところからアイディアが生まれますね。スタッフはツボの資格を持っている人がいたり、ダンスを教えている人がいたりと、わりと個性的。みんなが積極的にアイディアを出してくれるので、もう企画が追いつかないくらいなんです。それに、誰かがPOPや装飾を作っていると、みんなで『わ~、かわいい~!』と言って盛り上がる。そうやってみんなが楽しんでやれば、お客様にもきっと楽しい空気が伝わると思っています」

――とても伝わってきます。手作り感あふれるPOPや装飾が散りばめられていて、お店全体にアットホームな雰囲気が漂っていますよね。

「お客様に『おかえり』って言いたいんです。もちろん商品を買っていただけたらありがたいですが、店内を楽しんで見てもらえたら、それだけでうれしい。最近では『何かほしいわけじゃないけど、楽しいから来ちゃった』と言ってくださる常連のお客様が増えてきたんです。こちらも、面出しの本や飾っている雑貨を入れ替えて、常に目新しくするように工夫しています」

 

時代とともに移り変わる、書店のあり方

――最後に、村澤さんご自身のことをおうかがいしたいのですが、書店員のお仕事を始められたきっかけは何だったんでしょうか。

「両親の影響で幼い頃から本がすごく好きだったんですが、一番好きな本を仕事にすることにたいして『ちょっと怖いな』という気持ちがあったので、ずっと避けていたんです。でも、就職をする前に一度、本屋さんでバイトをしてみようかなあと思い、近所の福家書店で働き始めたのがきっかけです。そしたら、いつの間にか社員になっていました(笑)。実際に書店員になっても、やっぱり本が好きな気持ちは変わりません。ただ、おもしろいかどうかよりも、売れるか売れないかという商売の目で本を見てしまいがちなので、そこは純粋なあの頃とは違いますね(笑)」

――子どもの頃からよく書店に行かれていたかと思いますが、村澤さんから見て、書店のあり方というのは時代とともに変化してきていると思いますか?

「こんなこと言っちゃいけないかもしれないんですけど、昔の書店員さんって愛想がない方が多かった(笑)。置いておけば売れるという時代だったと思うんです。それが今では、どの書店も接客のクオリティが上がってきている。そうじゃないと残っていけないですからね。やっと危機感を抱いているんだと思います」

 

<店舗情報>

福家書店 新宿サブナード店

東京都新宿区歌舞伎町1 サブナード1号

TEL  03-3359-2980

営業時間 10:00~22:00

HP  http://www.fukuya-shoten.jp/shop2/?id=306

 

【考察】

 お店のなかをじっくり見ていて感じたのは、「セレクトショップに似ている」ということでした。それは、単に雑貨がたくさん置かれているから雰囲気が似ているということではありません。例えば薬局やスーパーが、万人の求める商品が置かれているという品ぞろえの良さを求められるのとは違い、セレクトショップは、そのお店の世界観に基づきセレクトされた、「まだ知らない素敵なもの」との出会いが求められます。その「素敵なもの」を探すときのわくわくする気持ちが、この新宿サブナード店さんでも味わえる――その点で似ていると思ったのです。ここではそれを切り口に、新宿サブナード店さんのスタイルについて考えてみたいと思います。

 ECサイトが普及した現代では、買いたい本があるとき、わざわざ書店へ行かずにインターネットで注文する人も多くなりました。送料もかからないし、すぐに届く。コンビニで受け取ることもできるし、おまけにポイントまで貯まってしまう。ネットで本を買うことは、あまりに便利になりました。

 では、人々はどんなときに書店へ足を運ぶのでしょうか。

 例えば本の中身を見て買うかどうか決めたい人もいれば、状態の良いものを見極めて買いたい人もいるでしょう。その動機は人によって様々だと思いますが、ここで注目したいのは、「こういう内容の本がほしい」という漠然としたイメージしかないとき、ネットではなく書店で探す人が多いのではないか、ということです。一度に多くの本を手にとって見比べることができるのだから、書店で探すほうが効率的だと考える人は多いはずです。つまり、現代の書店は「お目当ての本を買いに行く場所」という側面よりも、「まだ知らない素敵な本を探しに行く場所」という側面の比重が大きくなっているのだと思います。その「探す」という体験そのものに付随するエンターテインメント性を増幅させたのが、新宿サブナード店さんのスタイルだと思うのです。

 リニューアルの最大の特徴は、コンセプトを「女性がきれいになるお店」というニッチな分野に限定したこと。これによって、「万人のニーズに応える書店」とは一線を画す、「ひとつの世界観を持ったセレクトショップのような書店」が出来上がりました。その世界観のなかに設けられたキャッチ―なカテゴリは、「あの棚もこの棚も、どんなものが置いてあるんだろう」と、まるでテーマパークに迷い込んだかのように、わくわくする気持ちをかき立てます。さらに、本だけでなく雑貨も充実して置かれていることで、あれこれと探す楽しさが増すのだと思います。

 また、居心地がよく、アットホームな空間を演出することで、そもそも「こういう内容の本がほしい」という欲求がなかったとしても訪れたくなる場所として、多くのリピーターを得ているのだと思います。

 村澤さんが話してくださったように、今は本をただ置いておくだけでは売れない時代と言われています。そんななか、大きなリニューアルを遂げ、その後もスタッフの皆さんの熱意と工夫によって日々進化してきた新宿サブナード店さん。現代にフィットした書店のあり方として、ひとつのスタイルを提示しているように思いました。

 

【本日の手土産】

やってまいりました、手土産のコーナーです。今日も唐突に始まります。

今回は「春がきた!」ということでいちご大福をお持ちしましたよ。訪問先も女性のみなさんですからね、女子ウケも狙ってみました。

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まるでお雛様のような、なんとも愛くるしいフォルムです。

あんまりかわいいので、バックを白にしてスタジオ風に撮影してみました。

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どのアングルから見てもかわいい、いちご大福のみなさん。

さて、前置きが長くなりましたが、お店は築地市場の場外に本店を構える「築地そらつき」さん。

すしざんまいさん本店のお隣にあります。

カラフルな大福から思わず期待してしまうとおり、餡のバリエーションが豊富なんです。左から「つぶあん」、「こしあん」、「抹茶」、「苺あんヨーグルトソース」、「カスタード」という魅惑的な布陣。

この5個入りパックは日替わりでメンバーチェンジがあるそうで、どのお味がパックされているかは、行ってからのお楽しみ。その日によって、1個から購入できるものもあれば、5個入りパックにしか入っていないものもあるのだそう。ちなみにお邪魔したときは、このほかに「チョコあん」と「白桃ホイップ」という、これまたそそられるお味が別売りされていましたよ。

いちごのフレッシュな酸味、上品な甘さの餡、もっちもちの食感――こんなに幸せなハーモニーがほかにあるでしょうか。

いちごが旬なうちに、ぜひ。

 

<店舗情報>

築地そらつき

東京都中央区築地4-11-10

TEL 03-6264-1763

営業時間 8:00~15:00

 

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